magnoleahの観劇

演劇/ミュージカルの感想・劇評・観劇スケジュール など

2015年12月の演劇何観る?(1): 『シカゴ』来日公演!

12月は絶対…

 

f:id:magnoleah:20151105222015j:plain

 

来日公演は、ミュージカルの本場ブロードウェイで現在活躍中の俳優たちによる、圧巻の歌唱力と演技のステージを体験できるチャンス。今回来日の『シカゴ』は、エンターテインメント性たっぷり、大人向けのショー。初心者も舞台好きも、一人でもカップルでも友達同士でも、誰でも楽しめる。(字幕付き)

 

ブロードウェイミュージカル『シカゴ』アメリカ・カンパニー来日公演
種類:ミュージカル(アメリカ・来日公演)
作曲:ジョン・カンダー(John Kander)
作詞:フレッド・エブ(Fred Ebb)
脚本:フレッド・エブ、ボブ・フォッシー(Bob Fosse)
振付:ボブ・フォッシー
出演:シャーロット・ケイト・フォックス(Charlotte Kate Fox・ロキシー・ハート役)、アムラ=フェイ・ライト(Amra-Faye Wright ヴェルマ・ケリー役)、トム・ヒューイット(Tom Hewitt ビリー・フリン役)、他アメリカ・カンパニー
日時・場所:
2015年12月4日(金)~23日(水) 東急シアターオーブ
2015年12月26日~27日(日) 梅田芸術劇場メインホール
詳細・チケット:公演オフィシャルサイト www.chicago2015.jp (オンライン)・ぴあ http://pia.jp/t/chicago/ ・イープラス http://eplus.jp/chicago/ローソンチケット http://l-tike.com/chicago

 

舞台は「狂騒の時代」と呼ばれる1920年代半ば、アメリカ・イリノイ州シカゴ。夫とその不倫相手を殺したヴェルマ・ケリーと、自身の不倫相手を殺したロキシー・ハート、二人の女性殺人犯は、それぞれ弁護士ビリー・フリンの手腕でメディアの注目を集め、一躍時の「スター」となる。二人の名声への欲望、彼女たちを取り上げるマスコミ、次々と変わる流行、腐敗した刑事司法制度などを、その時代のヴォードヴィル(歌とダンスのショー)風ジャズ音楽・ダンスとともに描く。

 

『シカゴ』はとにかく楽しくて、セクシーで、かっこいい。ブロードウェイミュージカルの中でも最も人気のある演目の1つで、初演は1975年で2年間上演されたが、1996年のリバイバル公演(=再演)が人気を集め、以来19年間、現在もブロードウェイ(アンバサダーシアター)で上演され続けている。

『シカゴ』は内容もおもしろいが、特にその音楽とダンスが良く知られている。「ジャズの~」とか「ジャジーな~」と紹介されるこの作品の音楽は、既存のジャズ音楽ではなく、アメリカの1920年代を舞台上に再現するため、ジョン・カンダーが作曲したもの。先の第一次世界大戦は、大規模な無差別・大量殺戮が初めて行われた戦争で、人々は個人の尊厳や、それまで信じていた神の存在を見失った。1920年代はその遺産のような時代で、国が物質的に豊かになる一方、人々の間では刹那的で享楽的な気分が広がっていた。禁酒法(アルコールの製造や販売を禁止する法律。キリスト教と関わりが深い。)が敷かれたが、アルコールの密造・密売が盛んになり、却って違法行為・法制度の崩壊を促した。カンダーの音楽はそうした「狂騒の時代」の雰囲気をよく表している。

また音楽以上に、この作品の全体の雰囲気は、ダンスが決めていると言っても良い。『シカゴ』は、多くのミュージカル・ミュージカル映画の振付を行った振付師、ボブ・フォッシー(Bob Fosse)がフレッド・エブと共に脚本を書き、自ら監督をしてできた作品で、このダンスを持って、作品自体がヴォードヴィルと呼ばれる当時の歌とダンスのショーのようになっている。現在の振付担当者もかつてボブ・フォッシーに師事しているが、『シカゴ』はフォッシー亡き後、監督・演出が他の人になっても、フォッシーオリジナルの振付が大切にされている。

今回の公演は、NHKの朝ドラ『マッサン』のエリー役で人気となったシャーロット・ケイト・フォックスがロキシー役で主演を務める。私は実は『マッサン』を見ていなかった(!)のだが、ある番組に彼女がドラマの番宣で出ているのを見て、かわいらしさにハートを射抜かれ、即刻『シカゴ』のチケットを買ってしまった。(そして宣伝していたドラマも観た。)こんなにかわいくて優しい雰囲気の女性がどうやって野心家でセクシーなロキシーに変身するのか、楽しみすぎる。

ところで、私はてっきりシャーロット・ケイト・フォックスは日本の女優としてゲスト出演的に日本での公演にだけ出るのかと思っていたが、実は大胆にもこの公演でブロードウェイ・デビューし、10月31日昼公演と、11月2日から11月15日までの2週間、アンバサダー・シアター(ブロードウェイで『シカゴ』を上演している劇場)の舞台に立つらしい(*1)。動画があったので観たが、初々しすぎてちょっと心配。ちなみにヴェルマ役のアムラ=フェイ・ライトは2006年からブロードウェイで『シカゴ』に出演、その前もイギリスや南アフリカでヴェルマ役を演じている大ベテラン(*2)。ビリー・フリン役のトム・ヒューイットもブロードウェイ常連のミュージカル俳優で、ビリー・フリン役も何度も演じている(*3)。

 

デビュー直前アメリカbroadway.comのインタビューと稽古の様子の動画(英語):
http://www.broadway.com/videos/156374/new-chicago-stars-charlotte-kate-fox-jason-danieley-bring-the-old-razzle-dazzle-to-the-long-running-smash/#play

 

ブロードウェイ・デビュー公演の動画:
https://www.youtube.com/watch?v=qPAHdV2Gkh8&feature=youtu.be

 

ブロードウェイデビューについてぴあの記事:
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201511020004&utm_source=mail20151104&utm_medium=others_stage&utm_campaign=chicago

 

参照:
*1 Telechargeサイト <https://www.telecharge.com/Broadway/Chicago/Overview>
*2 broadway.comサイト内俳優紹介ページ <http://www.broadway.com/buzz/stars/amra-faye-wright/profile/>
*3 Tom Hewittオフィシャルサイト <http://pamij.tripod.com/>、broadwayworld.comサイト内出演作品紹介ページ <http://www.broadwayworld.com/people/Tom-Hewitt/#>