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2015年12月の演劇何観る?(2): クリスマスミュージカル『スクルージ』・『バグダッド動物園のベンガルタイガー』

クリスマスは子どもから大人までみんな大好き、アメリカ・ヨーロッパのクリスマスの定番…

 

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ミュージカル『スクルージ
種類:ミュージカル(イギリス・日本語)
原題:Scrooge
原作:チャールズ・ディケンズクリスマス・キャロル』(Charles Dickens 『Christmas Carol』)
脚本・音楽・作詞:レスリー・ブリッカス(Leslie Bricusse)
演出:井上尊晶
訳詞:岩谷時子
出演:市村正親(エベネザー・スクルージ)、武田真治(ボブ・クラチット)、他
日時・場所:
2015年12月4日(金)~15日(火) 赤坂ACTシアター
詳細・チケット:
公演オフィシャルサイト(ホリプロhttp://hpot.jp/stage/scrooge-2015
(オンライン)・ぴあ http://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1528675 ・ イープラス http://eplus.jp/sys/T1U14P002105500P0050001ローソンチケット http://l-tike.com/d1/AA02G03F1.do?DBNID=3&ALCD=1&PGCD=273049
※子ども料金あり

 

守銭奴スクルージは、町一番の嫌われ者。

クリスマス・イブの日も周囲に温かい言葉一つかけるでもなく、自分の

金銭欲を満たすためだけに生きている。

スクルージの事務所の事務員はボブ・クラチットただ一人。

この忠実な男を安月給で雇い、クリスマス休暇も一日しか与えない始末。

ところがその晩、一人ぼっちで過ごしていたスクルージの前に、かつてのビジネス・パートナーだったマーレーの亡霊があらわれ、これから自分の過去・現在・未来をめぐる旅へ連れ出されるだろうと伝える。

未来の自分の衝撃的な姿を見たスクルージは、クリスマスの本当の意味に気がつく・・・・・・

(公演オフィシャルサイト http://hpot.jp/stage/scrooge-2015/story

 

アメリカやヨーロッパでは知らない人はいないクリスマスの定番のお話。原作は19世紀イギリスの作家、チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)の小説『クリスマス・キャロル』(『Christmas Carol』 1843)。「スクルージ」というのは主人公の名前。たくさんの映画化、ミュージカル化、絵本化作品があるが、中でもこのミュージカルは、最も有名なミュージカル映画化作品『スクルージ』(1970)を舞台化したもの。舞台化したのは、映画中の歌を作詞・作曲したレスリー・ブリッカスなので、「サンキューベリーマッチ」など映画中の有名な歌を生で聞くことができる。

この公演は子ども料金が設定されていて、子どもも楽しめるようになっている。が、内容はもちろん、役者を見ても、いわゆる「子ども向けミュージカル」のような子供だましの舞台とは違う。主演の市村正親は、登場するだけで舞台がぱっと華やぐような役者で、『スクルージ』のように主役を中心にした舞台にはぴったり。歌声、演技、存在感、どれもいい。全編とても贅沢で楽しい舞台になると思う。

 

ホリプロスクルージ』CM。以前の公演の様子が映っていてどんな公演か分かる:

 http://youtu.be/qcK9NV-QOv4

 

 

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バグダッド動物園のベンガルタイガー』
(『Bengal Tiger at the Baghdad Zoo』)
種類:演劇(アメリカ・日本語)
作:ラジヴ・ジョセフ(Rajiv Joseph)
翻訳:平川大作
演出:中津留章仁
出演:杉本哲太風間俊介安井順平、谷田歩、他
日時・場所:
2015年12月8日(火)~27日(日) 新国立劇場 小劇場
詳細・チケット:
新国立劇場ウェブサイト内公式ページ:<http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/150109_006140.html>・
ぴあ <http://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1521640&rlsCd=004>・
イープラス <http://eplus.jp/sys/T1U14P002167222P0050001> 他

 

 新国立劇場は、考えさせられる公演、興味深い公演など、上演することにとても意味があるがあまり上演されない作品(恐らく採算が取れないため)をしばしば上演してくれる。今回バグダッドを舞台にした演劇が上演される。

 

空爆によって破壊されたバグダッド動物園、ベンガルタイガーの檻の前。ふざけあっていた警護のアメリカ兵が、腹をすかせたトラに手を噛みちぎられる。トラは即座に別の兵士に撃ち殺されるが、幽霊となって撃った兵士に取り憑く。取り憑かれた兵士はやがて精神に異常をきたし、自殺。これまた幽霊となり、義手をつけた元相棒に取り憑く。トラの幽霊、アメリカ兵の幽霊、さらにはサダム・フセインの二人の息子の幽霊、殺された女の子の幽霊……幽霊と現実を生きる人間とが綯い交ぜとなり、バグダッドに渦巻く欲望と残虐さがあらわになっていく。

新国立劇場ウェブサイト 公演情報『バグダッド動物園のベンガルタイガー』 <http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/150109_006140.html>)

 

中東についての演劇というのは(日本では)とても珍しい。以前パレスチナのアルカサバ・シアターによる『アライブ・フロム・パレスチナ―占領下の物語―』を観て強い衝撃を受け、その感触が今も残っている。『バグダッド動物園のベンガルタイガー』はアメリカの劇作家の視点で書かれたものではあるが、この貴重な機会に観に行くことにした。

ところで、出演者の一人、風間俊介さんは、ジャニーズの方らしい。私が言うのもおこがましいが、こういった社会性をもった作品でジャニーズの方を配したのは素晴らしいと思う。