magnoleahの観劇

演劇/ミュージカルの感想・劇評・観劇スケジュール など

2015年10月あと半月だけどやっぱり演劇何か観る?:2つの劇中劇

10月も残り半分。

先月『NINAGAWA マクベス』が良すぎて2回も観てしまったので(人生初)、今月はお休みにしようと思っていたが、なんかすごく良さそうなのやってる。

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井上ひさし作『マンザナ、わが町』
種類:演劇(日本)
日時:2015年10月3日(土)~25日(日)
場所:紀伊國屋ホール(新宿東口)
チケット:(オンライン)イープラス http://eplus.jp/komatsuza・(電話予約)こまつ座 03-3862-5941 他
詳細:こまつ座ウェブサイト http://www.komatsuza.co.jp/program/

 

舞台は太平洋戦争中、真珠湾攻撃後のカリフォルニア州の日系アメリカ人強制収容所「マンザナ強制収容所」。そこに収容されている日系人のうち5人が収容所長から呼び出され、「マンザナは強制収容所ではなく、日系人が自主的に運営する町」という主旨の朗読劇『マンザナ、わが町』を上演するよう命令される。(チラシ・こまつ座サイトから要約・編集)

現代日本文学を代表する小説家・劇作家・放送作家、井上ひさしが1993年に発表した作品で、こまつ座井上ひさしが作った劇団)が戦後70年を記念し、18年ぶりに再演している。興味深い上、貴重な公演。

時々、再演に取り組んでくれたことそのものに感謝したくなる公演がある。この公演はまさにその一つ。

 

 

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松本幸四郎演出・主演 『ラ・マンチャの男
種類:ミュージカル (アメリカ)
日時:2015年10月4日(日)~27日(火)
場所:帝国劇場
チケット:(オンライン・電話・窓口予約先一覧)帝国劇場ウェブサイトhttp://www.tohostage.com/lamancha/ticket.html
詳細:帝国劇場ウェブサイト内『ラ・マンチャの男
http://www.tohostage.com/lamancha/index.html

 

こちらは歌舞伎俳優・九代目松本幸四郎主演の言わずと知れたロングヒット・ロングラン・ミュージカル、『ラ・マンチャの男』。『ドン・キホーテ』のお話を下敷きにしたものだが、内容の前にまずこの公演、1969年が初演で以来なんと46年も上演している。46年である。ミュージカルの本場でも『レ・ミゼラブル』の30年が最長なのに、ミュージカルがあまり浸透していないこの日本で46年。それだけ多くの人に足を運ばせ、そして飽きさせずに人気が続いているというのは凄いと言うより異常事態。しかもその46年間、ずっと同じ俳優が主役を務めている。松本幸四郎はまだ松本幸四郎ですらない時代から演じているのである(当時は六代目市川染五郎)。一体これは何なんだ?なぜこんなに人気なのか?松本幸四郎だからか?主演にとどまらずいつの間にか演出もしているし?

私にとっては『アニー』と並んで、日本人として一度は観ておきたいと思う二大(謎)日本語ミュージカル。

ちなみに『ラ・マンチャの男』自体は日本のミュージカルではなく、アメリカのミュージカルで、松本幸四郎主演の公演はその日本語バージョン。原題 は『Man of La Mancha』で、劇作家・映画脚本家 デール・ワッサーマン(Dale Wasserman)作。1964年に発表、翌年ブロードウェイに進出し、その年のトニー賞(映画でいうとアカデミー賞)を、ベストミュージカル賞を含め5部門受賞した。過去4回ブロードウェイでリバイバル公演が行われていて、つまりアメリカでも(日本ほどではないが)そこそこ人気がある。

内容:17世紀スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスと彼の書いた小説『ドン・キホーテ』をもとにしたもの。牢獄に収容されている作家セルバンテスと、同じ牢獄の囚人たちが劇を演じる。

娯楽要素たっぷりで、秋の夜長にとても楽しい時間が過ごせそう。

 

ところで、記事タイトルの「劇中劇」というのは専門用語で、演劇作品の中で行われる演劇のこと。二つの作品は趣向は全く違うが、どちらも劇中劇が、『マンザナ、わが町』では内容の、『ラ・マンチャの男』では構造の、中心になっている。