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『NINAGAWA マクベス』 ー蜷川幸雄の真骨頂

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蜷川幸雄の『マクベス』、昨日観劇。

日本人ならみんな見るべき。

舞台を戦国時代の日本に置く、と聞いてかなりの「キワモノ」を想像していたが、全く違った。これは蜷川幸雄の真骨頂だ。

シェイクスピアの『マクベス』の芯にあるものは、人間の本性や、価値観、真実とは何か、といったとてもシンプルで、人間の根源的なテーマである。蜷川は純粋にそれを追及している。ただ、オリジナルがイギリス的・ヨーロッパ的価値観を意図せずとも大前提にしているのに対し、蜷川はそれを、日本の国と日本人がその長い歴史と文化の中で培い、受け継いできた、日本的価値観ーあるいは日本の精神ーで追及した。私たち観客が『NINAGAWA マクベス』で見るのは、まさに蜷川幸雄がそうしてたどり着いた、「日本」という一つの壮大な世界観なのだ。
舞台には桜の花びらが舞い散っている。華やかな剣戟。艶やかな打掛。怪しげな巫女たちの予言が、言霊となってマクベスを狂わせる。
こんなにも哀しく、美しい『マクベス』は日本人演出家・蜷川幸雄にしか作れない。

東京公演は10月3日(土)まで、渋谷・Bunkamuraシアターコクーンで行われている。
各日わずかながら、残席があるので、ぜひ行って観てほしい。

詳細・チケット購入(Bunkamura シアターコクーン):
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/15_macbeth.html